プロデューサーやディレクターはクリエーターではないのか?

個人的に「うわーなんだかなー」と思ったツイートがこれ。

 

ニュアンスとして、グラフィッカーなどはクリエーター(創造者)だけど、そういう目に見える成果物を作る人以外はクリエーターじゃないぜ(創造していないぜ)、という意味だと思います。

自分はゲームディレクターの桜井政博さんをとても尊敬しているので、この発言はマジでないなと思ったので取り上げていきます。

ゲームディレクターとは、映画で言うところの監督であったり、雑誌で言うところの編集者のような仕事をする職種です。

この日記では、そういった職種をプロデューサーやディレクターという言葉に置き換えて書いていきます。
(プロデューサーはディテクターを束ねる人というニュアンスであることが多いですが、業界によってはプロデューサーはいなくてディテクターだけいるというパターンもあります。私が勤めている会社はそのパターンです)

世の中にある多くの商品はプロデューサーやディレクターが企画を考え、それを出資者にプレゼンし、予算を確保して動いていきます。(出資者は社内の人、社外の人両方ありえます)

その後デザイナーやプログラマーなどのメンバーを集め、これから作る商品のビジョンをキックオフミーティングなどで共有し、実際にプロジェクトを動かしていきます。

プロデューサーまたはディレクターは商品に対しての最終的な責任を負いますが、この職種の人がCGを作ったり、プログラムを書くことはあまりしません(する人もいますが、ある程度の規模であれば基本的に分業化されています)

例えばスマブラのディレクターは桜井政博さんですが、桜井さんがマリオのCGを作っているわけではないです。

作るのは別の人で、桜井さんは作業者が作った成果物を監修することが仕事です。

桜井さんは、自身が考えるゲームに相応しいか、要件を満たしているか、これを採用することでゲームが面白くなるか、などを考えて判断を下していくわけです。

桜井さんが目に見える成果物を直接手で作っているわけではないですが、スマブラを創造した人は誰かと聞かれたら、一番相応しいのは桜井さんだと思います。

仮に桜井さんが「私が作ったスマブラでは実はこんな工夫をしていて~」みたいな発言をしたときに誰も異を唱えないと思います。

そしてスマブラがなんらかの賞を受賞する時、表彰台に立つのはやはり桜井さんだったと思います。

なぜかと言うと、プロデューサーまたはディレクターがいないと世に商品がそもそも生み出されないからですね。

作業者だけでも商品を世に出すことは出来ますが、それは作業者がプロデューサーまたはディレクター、あとはスポンサーの役割を兼ねているからに過ぎません。

もちろんデザイナーやプログラマーがいないとゲームなどの商品を作ることが出来ませんが、同じようにプロデューサーまたはディレクターがいないと商品を作ることが出来ません。

クリエーターという単語は、創造する人と訳すのが適当かと思います。

そして創造というのは、何か新しいものを生み出すこと、という意味でしょう。

その行為が、なんらかのCGアセットを生み出すこと、プログラムを書くこと、だけではないことであることは、ここまで読んだ方であれば理解出来ることかと思います。

企画を立てる、全体像を考える、タスクを割り振る、クオリティのバランスを取る、制作進行をする、制作を行いやすくする仕組みを作る、チームを束ねて管理する。これも創造には不可欠なタスクです。

桜井政博という、世界でも最も偉大なゲームディレクターがクリエーターではないと言い切ることは難しいと思います。

それは桜井さんが類まれな優秀さを示していることもそうですが、そもそもゲームディレクターという仕事はクリエーターでもあるからです。

今回はゲームを例にしましたが、ゲームだけではなく、雑誌やITシステム、工業製品であっても同じことです。

何が言いたいかというと、プロデューサーであったり、編集者や監督といったディレクター業に対して、クリエーターではないというのは不適切だということです。

生成AIを低く見る行為はどうでも良いのですが、それを言いたいがために不要な範囲まで反感を買うような発言をするのはなんだかなと。

私はプロデューサーやディレクターという職種を尊敬しているので、それを腐した発言は見過ごせないなと思います。

そんな程度の発言が出てくる界隈は本当に酷いレベルだなと思いました。

上流工程だから、下流工程だから、ということではなく、ただ単純に創造の工程に係る人は全員クリエーターです。

そんなことを改めて思いました。

今日の日記はこの辺で。

それでは、また。

ここまで読んでくださりありがとうございました。
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