AIイラストについて思ったこと
以前AIイラストについての感想やスタンスを記事にしたが、あれから約2週間。
私はずーっとAIイラストを作っていた。
趣味であるゲームもやらず、会社のことや抱えている諸々の問題もすべて見なかったことにしてイラスト生成を行っていた。
平日は1日4時間以上、休日は技術やプロンプトの研究に10時間くらい注ぎ込んでいた。
その上で思ったことについて書いていこうと思う。
イラストそのものの勉強が楽しい
元々技術的な興味関心で始めたAIイラスト生成だが、今度はイラストそのものに興味が湧いてきた。
というのもプロンプトや新しい技術を導入してみても、イマイチイラストがパッとしなかった。
他のAIイラストや手書きのイラストと自分が生成したイラストの何が違うのかを考えた結果、そもそも絵に対する知識・理解度が低いのでは?という結論に落ち着いた。
当たり前だがイラストの生成はAIがやってくれるが、イラストの良し悪しを判断するのは人間なのだ。
そして私にそのセンスは無い。
センスがないならどうすればよいかというと勉強するしかない。
付け焼刃でも最低限の知識を仕入れることが出来れば、イラストに対する考え方・選び方も変わってくると思ったからだ。
というわけで人気イラストレーターのYoutubeをひたすらにみるようにした。
さいとうなおき先生、いくしー先生、竹花ノート先生の添削動画や配信切り抜きを見ることで、「どういうイラストが好まれるのか」、「どういう観点でイラストと向き合うべきなのか」というのを自分なりに理解しようと思ったのだ。
順序としては逆だと自分でも思っているが、AIイラスト生成にハマらなかったらイラストへの興味は一生持たなかったと思うので、正直これだけでも満足している。
当然自分自身に何か能力が備わったとか、「完全に理解した(キリッ)」っていうことを言いたいわけではなく、ただ単純に「絵って奥が深いな~」という小学生並みの感想である。
AIイラストが便利そうな領域
商業として考えたとき、AIイラストは大変便利なコンテンツになると思う。
というのもイラスト単体で見たときの金銭的な価値というのは結構効率が悪い。
例えばプロのイラストレーターに1枚絵をかいてもらったとしても、20万もあれば引き受けてくれるいるようだ(もちろんその絵師のランクや依頼する絵の難易度にも左右される)
だが冷静に考えると仮に、打ち合わせ、ラフの作成、清書、調整、納品までを5日間で行った場合、1日当たりの売り上げは4万円にしかならない。
そしてその金額に、営業やマーケティング、経理や納税などの業務は含まれていない。
個人で短期ならまだしも商業で長期的にやっていくには厳しい金額だと思われる。
また、この20万というのはそれなりのランクの人が雇える金額らしく、もう少し知名度の低い人を狙っていけば、5~10万でもいけるらしい。(Youtubeでイラストレーターが言っていたのを鵜呑みにしているので本当かどうかは知らないけれど)
イラスト1枚書いて5~10万というのは結構生活がきびしそうだ…。と私は思った。
実際イラストレーターはイラスト単体で飯を食っていく、というよりは、他の付加価値や業務的なコラボレーションで単価を上げていくのが一般的らしい。
例えばTwitterのフォロワーが多いので広告・集客の効果が見込めるだとか、デザインやプログラミングとの併用で差別化を図っていくだとかを行っているらしい。
イラスト単体だとちょっとコスパが悪いが、逆にマーケティングやプロダクトの品質を良くするためにはイラストは大変便利なので、ちょっとしたイラストの作成というニーズはかなりあると思う。
ちょっとしたイラストの作成であれば、AIイラストの方が便利なのでは?とも思った。
著作権の問題は後で語るとして、もしもAIでのイラスト作成がメジャーになった場合は、イラスト単体で何かをするというよりは、なんらかのコラボ的な使われ方をするのではないかな?と思った。
AIイラストは感性を売る仕事になるのではないか?
先ほどプロンプトを覚えてもイラストレーターとしての感性が無いとメリットが薄いという話をした。
これは多分その通りだと思っていて、今はまだ自分のような技術オタクが絵を生成している段階なので顕在化していないが、より一般的にAIイラストが広まっていった場合、絵の良し悪しを厳しくジャッジされるようになると思う。
そうなるとAIで生成したイラストをただ出せば良いのではなく、絵の選別、コンセプトの追及、新しい構図やシチュエーションの模索が必要になってくる。
それを可能にするのは鍛錬して磨いた感性なんじゃないかと自分は思っている。
つまり何が言いたいかというと自分のようなエンジニア崩れが絵を生成している時代はそう遠くないうちに終わりを迎え、感性を職業としていた人たちが活躍する時代になるんだと思う。
絵の良さを誰が判断するのか?
今後AIイラストで飯を食っていこうというのであれば、大事なのはブランディングだ。
なぜなら一般の消費者には絵の良し悪しを判断する能力が乏しいので、絵の良し悪しの判断を他者に委ねるようになる。
それが権威と呼ぶのかブランディングと呼ぶのかはわからんけれど、間違いなくそうなる。
感性の乏しいエンジニア崩れが良いイラストを生成できないように、絵を消費する一般大衆もまた磨かれた感性というのは持ち合わせていないのだ。なので多くの人は絵の良し悪しの判断はできないと思われる。
そうなると誰かの判断を指標にしたり顔で絵について語られるようになるのだと思う。
いわゆる現代アートみたいなもので、一般人からしたらゴミにしか見えなくとも、多分そういう感性や歴史、知識を持ち合わせている人には理解が出来て、それを権威者が広めることで一般の人もありがたるようになるんだと思う。
AIイラスト生成技術は誰が使いこなせるのか?
自分の中では明確に結論が出ていて、AIイラスト生成技術を一番使いこなせるのはイラストレーターだと思っている。
生成したものを修正できる点だけではなく、絵に対する経験値、理論、知識、感性、すべての面でイラストレーターの方が有利だと感じている。
今はまだ表立ってAIを使います!というイラストレーターは少なく、むしろ相互に監視・牽制し合っているような状態だと思われる。
倫理とか法については議論になるのでいったん保留にしておくが、こうやってイラストレーター同士でAIの使用を禁止し合う流れが続けば、いわゆる”AI絵師”なる人たちがほくそ笑む感じになると思う。
ただPixivとか見ていると、イラストレーターが別垢で作っているんだろうな~というAIイラストを見かけるようになったので、皆牽制し合っているけど多分どこかでなあなあになっていくんだと思う。
なんにせよ、どう転ぶかはイラストレーターに委ねられているんだろうな~と思う。
AIイラストの法的な議論の前に思うこと
需要がある限りそれが法や倫理的な問題があったとしても誰かがそれを供給するようになる。
ましてやAIイラストはブラックというよりはグレーかホワイトの領域なので、AIイラストの生成が減ることはしばらくは無いと思う。
仮に法的な規制や結論がでたとしてもそれは当分先のことになると思う。
現時点で法律に反していない行為を脅迫などを交えて糾弾したり、裁判という形式を取らずに私刑に及ぶことは、法と自由を重んじる国家に属する人として許されない行為だと私は思っている。
ここを勘違いしている絵師やそのファンたちの暴走がちらほら見れるが、義憤に駆られて何かをするのは本当にやめた方が良い。
国家が人民から暴力を取り上げた意味を知るべきだと思う。
自分のAIイラスト用のアカウントに脅迫的な言動を送ってきた人もいたが、これは文字通り法に反した行為であり、卑劣で許されないと思っている。
あなた方が敵視している、いわゆる”AI絵師”にも劣る行いだと思って自重してほしい。
別に私はAI絵師も術師も名乗っておらず、AIで生成したコンテンツの投稿を禁止されていないSNSに、AIであることを明記して投稿しているだけなので完全に八つ当たりじゃないかって思っている。
議論以前の問題だと私は思っている。
法的な問題について
自分は法律の専門家ではなく、ただの技術オタクなので、AIが法的にどういう問題を抱えているか、どういうことが必要なのかを騙ることは難しい。
ただ確信していることはある。
AIの取り扱いは、多くの開かれた議論、専門家だけではなく一般の人の意見、法的な正当な手続きを踏まえて決めていくべきだと思っている。
よくこういうことを言うと、「これだから本邦は~」とか「独裁国家の方が良いよね!」みたいに語る人が出てくるが、自分は自由を重んじる立場であるため、手続きこそ重要だと思っている。
自分としては、現時点ではAIイラストを生成したり、それでお金を儲けるのも自由だと思っている。
ただしそれによって誰かの権利を侵害したり、損害を与えて法的な補償が必要になった時はちゃんと裁判や示談を経て解決するべきだと思う。
あともう一点。現行法でもi2iなどは著作権に抵触するので、AIだから全部OKというわけでもない。ついでに言うとクリーンなモデル(そんなものあるかも知らんけど)を使っているから何でもOKというわけでもない。
丸が3つあればミッキーマウスぐらいなら作れてしまうからな…。
著作権について
まだ日本では法的にも判例的にも結論は出ていないと思うが、AIの著作権について考えてみる(アメリカの話はアメリカの話だからね!)
個人的にAIで生成した画像やテキスト、コードに著作権がなくても良いとは思っている。
別に著作権があろうとなかろうとそんなに問題だと思っていないからだ。
仮に私が作成した画像で誰かが転売や転載したとしても、どうでも良いな~と思ってしまう性格だからかもしれない。
冷静に考えてみると、AIで生成したと言っても、それが本当にAIで作成したかどうかなんて他人にはわからないので、転載も転売もリスクでしかないのだ。
プラットフォーム単位でAIで生成した旨記載する規約があったとしても、そのプラットフォーム以外で公開する分にはAIで生成したかどうかを明記する必要もないわけだしね。
あと仮に著作権がなくても売ることは出来るので、やっぱり大きな問題にはならない気はする。
今はまだ物珍しいからAIで生成したものをポンって公開しても注目を集めることが出来るが、そのうちAI絵単体では評価されない時が来る。
そうなると何かと組み合わせたり、編集したり、加筆したりする必要が出てくる。
そこまでくると今度はその部分に著作権が認められるようになると思われるので、あんまり問題にはならんだろうと楽観している。
仮に著作権が認められなかったとしても売ること自体は出来ます
例えば花屋で売っている花には著作権は無い。しかし売ることは出来る。
花は複製できないので喩えとして適切ではないとは思うが、まあ何が言いたいかというと、別に売ろうと思えば売れるし、何かと組み合わせればそこに著作権が発生しうるだろうしなあ…というだけである。
まとめ
お気持ち長文になってしまった。
1時間弱の間、特に読み返しもせず書きなぐったので、変なことが書いてあるかもしれない。
今文字数カウントしたら5000文字近かった。わらえる。
今日も今日とて絵を生成しようと思う。
というわけでまた次回。